2019/09/20

デザインが報われる時

マンションの建築はデザインや設計をはじめて、着工、
そして竣工まで通常2年から3年ほど費やす、
ひとつのプロジェクトがとても長い仕事。

自分たちはすでに決定しているプロジェクトでお声掛けをいただくが、
実際には用地の仕入れ、それに係る地上げなどを入れるとさらに数年費やしていることになる。

デザインや設計を終えて工事が始まると現場では様々な問題が発生することが少なくない。
問題の第一波をまともに受ける事業主が現場や設計と協力しながら、
色々な障壁を乗り越え、やがて竣工、引き渡しの日を迎える。

だから竣工を迎えようとする現場は長い仕事をやり遂げた達成感や万感の想いが入り混じったり、
もちろん諸検査や日程が遅れたりすると、それはもう戦々恐々とした雰囲気もあるのだけれど、
それでも間もなく終えようとする空気を共有できることは決して気分の悪いものではない。

横浜で今回竣工を迎えた現場は来週にも入居が始まるという。
前回の現場訪問ではまだ詳細の仕上げは見えなかったが、
最終仕上げを終えた今日の現場は見まがうような仕上がりを見せている。

先の大型台風で根元から座屈したシンボルツリーは無事植え替えられ、
アプローチに爽やかな木陰を落としていた。
横浜の高台から眺める眺望と、高い木々に囲まれた建築、
ちょっとしたリゾートホテルより造り込みをした共用部は
居住者の満足感を満たすには十分すぎるかもしれない‥‥

現場で迎えてくれた事業主の現場担当者さんが誇らしげに言った。
「けっこうデザインどおりにできたでしょ?」
ゼネコンの所長さんが笑顔で苦労話を聞かせてくれた。
「あそことここのおさまりにはけっこう苦労しましたよ。」
言葉に建築愛を感じる。

もちろんデザインやフィニッシュのクオリティはたいせつだけど、
現場の人の想いを感じること、
それが一番報われる事であると、
長年デザインの仕事を続けて、わかってきた‥‥。


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