2016/12/08

頭でひらめき手で考える

AIが世の中の仕組みを変えて行く避けようのない現実。
20年も昔にCADを目の当たりにした時、
到底設計の世界に普及するとは思えなかった。
周囲にはCADよりも早く美しくドローイング出来る強者たちが沢山いたから。
今ではその強者たちにもCADは欠かせない。

世の中に逆流し、かたくなに“シャーペン”でドローイングをしていると、
毎回画が“しっくりくる”瞬間がある。
仙人の境地かも知れない^^;

“しっくり”くる画は必ず良いデザインになる。
アイデアが頭に浮かび、ペンを無意識にスタートさせると、
勝手に手がイメージを導いてくれて、“しっくり”感を味わえる。

なぜ手が勝手にデザインするのか。
もしかすれば過去に描いたことのあるラインかもしれない。
頭でなく手が記憶しているのかもしれない。
あるいは手の甲の中にAI、人工知能が在るのかもしれない。
ノーアイデアでも、手が勝手にデザインをまとめてくれる時はさすがに自分に驚く。

ウチに面接へ来る学生さん達は皆、素晴らし作品を持参してくれるが、
以外にCAD作品だけでなく手描き作品も少なくない。

CAD作品を見ていると何かしら手本を見ながら、
上手く仕上げようとしている痕跡がうかがえる。
しかし手描き作品はみな自由で個性的。
手を絵具だらけにして、楽しく描いたんだろうと想像する。

手描きにはその“人なり”がにじんでいる。
丁寧に描く人、大胆に描く人、慎重に下書きをしている人、
後半に力尽きている感ありありの人‥‥‥。

学生さんにはどうか実社会に出ても、
CADやCGで効率的にデザインをすることだけは避けてほしいと思う。
コピペで描き上げる図面は決してディティールを習得するには役立たない。
CGでしか描けないデザインは近い将来AIにとって代わられる。
大切なことはデザインする目的、本質を理解し、
手を動かし続けること。
考え続けること。
紙を無駄にし続けること。

やがて手に知能が芽生える。それこそが
建築家の手であり、
デザイナーの手でだと思う。


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