2018/11/19
ニューヨーク、シカゴ、アメリカ大都市にそびえる20世紀初頭の摩天楼は
アメリカ黄金期の象徴、そしてアメリカ唯一無二の魅力でもある。
ほぼ100年も過去の美しいアール・デコ様式の衣をまとい
現在もその輝きは衰えることはない。
ニューヨーク、シカゴは経済、文化の中心地として発展を続けながら、
摩天楼を中心に都市のカタチを進化させている。
2018年秋、
オクラホマ州、オクラホマシティに向かうハイウェイ、
広大な草原の彼方、突然視界に入るニューヨーク摩天楼のごときシルエット。
摩天楼の蜃気楼…?
蜃気楼が視界に入り約10分後、ハイウェイは現実の高層ビル群に吸い込まれていく。
クルマのまわりに広がる1920年代の景観。
アール・デコ様式のビル群と整然とした街並み。
本当の摩天楼がそこに。
この摩天楼の街はオクラホマ州、タルサ/Tulsa。
大陸横断鉄道開通後、ネイティブ・アメリカンの集落に入植した白人が築いた街。
その後20年代、石油採掘のオイルマネーで潤った街には、
当時主流のアール・デコ様式で次々と高層ビルが建設されていった。
ストーリーの両脇に並ぶビル群と、
アメリカを感じさせるネオンサイン。
ただ少しニューヨークと異なるのは、
人込みや交通渋滞、イエローキャブが見当たらないこと。
ウェブでの表記は見つからないが、
他の小都市同様やこの街の発展はやがて間もなく途絶えたんだろう。
なぜならその後のポスト・モダンや近代建築の痕跡が見えない。
街全体が1920年代テイストのまま保存されている感覚だ。
でもある意味、これは純潔な摩天楼の街。
もしこの街がニューヨークやロサンゼルス近郊にあったなら、
きっと世界の観光客で賑わったはず。
いや、隔離してたからこそ、この純潔を保てたのか。
タルサ、草原にあるニューヨーク。
何日も滞在し、建築ウォッチしてみたかった…
小寺