2024/12/24
そこがかつてどのような敷地であったのか、あるいは風土、文化であったのか。
そして新しくそこにできる建築が、
周辺にどのような影響を与え、地域へどのように貢献できるのか。
またその建築は居住するものの生活にどう係わってゆくことが出来るのか。
30年、50年後の建築と地域社会のかかわりはどうだろう。
住宅の建築、特に大規模な集合住宅の建築となれば、
まずそういう“崇高”な考えが根底にあるはずで、
それは必ずしも商業的な観点から見た不動産建築の理屈とは相いれるわけではない。
発注者の意図がありはじめて設計、デザイン、施工が発生するシステムの中、
発注者の思惑が前者よりか後者よりかで計画は大きく変わってしまう。
デザインを表現するテクノロジーが発達している現在、
コンピューターによるシミュレーションと事務所の思考を掛け合わせると、
早い段階から精度の高い完成形が見えてくる。
但しあくまでそれらを現場で作り上げるのは、
何百人という職工たちであり、
係わる者の経験、熱意でも結果はかなり違ってしまう。
発注からはじまり、プロジェクトへ係わる者すべてが
同一方向を向けるという幸福にあやかれた場合のみ、
その“崇高な”集合住宅が完成すると考える。
浄げである建物が。