2019/10/18

社員教育は親がやれ。

企業の経営者や人事の担当者ならほぼ、年を追うごとに質が後退してゆく社員の対応に苦慮しているんじゃないだろうか。
一概に質という言葉で片付けるのは乱暴ではあるけれども…
多分に漏れず自分自身がそのことに感づき腐心し出してから10年は経つだろうか。
これは単純に若い者の質、社員個人の問題として片づけられる話ではなく、世の中の風潮や求職、
求人を取り仕切る人材会社のモラルや社会的道義の衰勢も相まって、
社員の仕事や他人に向き合う意識をより軽忽で空疎なものにしていると考えられる。
困難や現実からの逃避、責任感に勝る権利の主張、思い遣りの欠如、
これらは求職時に問われている資質ではなく、さらには昨今企業は、
そういった業務に直接類さないことを強いるとパワハラになりかねないと、
あえて遠ざける気風にある。
社会人として、人として人生を豊かにするために乗り越え身につけなくてはいけない
これら素養を建前上は問わずして、他方で質の低下と嘆くことは理不尽だろう。
若いひとたちは“問われない風潮”に流されてきた、ある意味無責任な時代や企業の犠牲になった人たちかもしれない。
さらに“働きかた改革”が加わり、御旗の元に労働者のご都合のみを理解させられ、
モーレツに日本経済を牽引し、今日の日本を築いた先達の働きかたを否定する。
その結果生み出される、努力や競争を好まない人種たちに国はどう未来を託し、レールを敷くんだろうか…
30代で起業した零細企業経営者としてこの状況に不安を感じずにはいられない。
つい先日、ウチのお客様の個人ブログで良書と紹介されていた書籍が気になり、すぐさま購入してみた。
大病を患いながらビジネスで成功を収めた父親が、息子へ綴ったいくつもの手紙を書きまとめた書。
文中では、なによりビジネスの原理原則を「常識」として息子へ教えを綴る。心の底から賛同できる書だ。 
丁度今年大学を卒業し就職をしたウチの息子へ、再び良いアドバイスが出来るかもしれない‥。
そう思いながら一通り目を通しながら、いかに過去自分が無策にアドバイスをしていたんだろうと、
申し訳なさと後悔の念が無性に湧き出た思いがした。
常識の乏しい社員に常識を説いてもそれはもう手遅れ。常識や人格は成長期に意識や身体に刷り込ませるもの。
人とのコミュニケーションがほぼ全てと言っていいデザイン会社の経営は常識と人格、つまり個性の上に形成されている。
テクニックやノウハウは会社の実践科目になっているが、先の話はその人の資質による。
だから社員教育の肝要は会社でなく、もう親御さんの教えから始まっているんだとつくづく感じている。
だから言いたい 子どものために
― 社員教育は親がやれ。


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