2018/12/14
ロビン・ウイリアムズがそうDJマイクに叫ぶシーンが今でも印象深い、
80年代の映画 “グッドモーニング・ベトナム“はアメリカ人兵士のAFN DJが主人公。
“ディア・ハンター”、“ハンバーガー・ヒル”、“カジュアリティーズ”、“プラトーン”、
“7月4日に生れて”、“地獄の黙示録”など、
この時代ハリウッドではベトナム戦争を題材にした名作が大量に生まれた。
多感な時代、それら映画から影響を受けた自身のベトナム観は、
相当に偏っていたものだったろうと思われる。
そこでは常にハリウッド、つまりアメリカの目線での戦争体験があり、
マーロン・ブランドやトム・クルーズ、チャーリー・シーンが
アメリカ兵の苦悩を中心に演じていた世界に、自分たちも同調していた。
もちろんそこにベトナム人の都合が描かれることは少なかった。
今回のベトナム視察旅行で訪問の機会を得た、ホーチミンの戦争証跡博物館は、
そんな若いころのベトナム観を良くも悪くも総括できる体験だった。
賑やかな市街地に忽然とあるこの証跡博物館は、
広島の平和祈念館みたく厳かな雰囲気は持ち合わせない。
どちらかというと南国の動物園に来たかようなオープンでカジュアルなエントランス。
しかし誰もが気軽に出入り出来る手軽さは、戦争の傷跡と市民を近づける良さがある。
そんな証跡博物館が教えてくれるベトナムの戦争は
ベトナムの人たちに起きた惨劇であり、
被害者は多くのベトナム市民であるという史実。
映画のフィクションとはかけ離れた現実。
“グッドモーニング・ベトナム“では主人公ロビン・ウィリアムスが
親友のベトナム人に裏切られ、辛く悲しいエンディングとなるが、
今日の証跡博物館は圧倒的に欧米の若者が多く来場し、
次の世代がつくる明るい未来像への想像を掻き立てた。
わずか数十年前、
ベトナムで行われた悲惨な出来事の遺構を
この平和な街が包み込んでいる事実。
自国の事のようにうれしく思う‥‥‥この蒸し暑い昼下がり。