01

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オファー

電話が長い旅の出発のベルだった。

小寺のケータイが鳴った。電話はオーナーからだった。「銀座の土地を買った」。「いつかきっと」と聞いていた話が、「いつか」ではなくなった瞬間だった。小寺とオーナーとは長年のお付き合い。もう2 0 年になるという。多くの仕事を依頼されるなかで、オーナーから幾度となく“ 想い”は聞いていた。東京、銀座。日本だけでなく世界に開かれた一等地のひとつ。その地に自分たちの企業史に確実に記されるであろう本社ビルを建てたい。なにも企業家だけが、その夢に心を震わせるのではない。国内外を問わず、すでに名のある建築家たちでさえ、自らの才能を世に問うために手掛けたいロケーション。実際、いろんなルートからアプローチはあったという。しかし、オーナーは、躊躇することなく小寺に声をかけてくれた。素直にうれしいと感じた。その電話は3 年前のこと。小寺にとって、これから約1 3 0 0日の苦しくて、つらくて、それが楽しいと思える日々が始まる。

02

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ミーティング-1

答えから、問題を解き始める。

電話から数日後。小寺は、東京・赤坂にいた。いまは旧となった東京本社の一室。始まるのは「打ち合わせ」というより、オーナーと二人で交わす会話。最初のこの会話がすべてのベース。ここをしっかりさせておかないと、先々揺らいでしまう。何をどうしたいか、何を始めたいか、何を現実化したいか。その答えは、気負ったものではなく、小寺の知るオーナーらしいものだった。「銀座といっても、お客様は大きな変化や刺激を求めているのではないわ。重要なのは、これまでと同じ変わらない安心感。それが、お客様への最高のおもてなし」。目指す方向はわかった。それ以上の言葉はいらない。ただ、そのなかで何を“デザイン”すべきか。

03

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ミーティング-2

「そうそう、それそれ。そんな感じ」。

それからその場が小寺とオーナーとのブレストの場であり、プレゼンの場にもなる。しかし、単に言葉を“キャッチボール”するのではない。サッカーにたとえれば、パスを出す感じ。足元へのパス、走る相手の前に出すパス、意表を突くトリッキーなパス。カタチはどうあれ、受け手へ意思が伝わる的確なパスを出すと、ゲームは大きく展開する。会話が波にのれば、わずか一本のパスでもゴールへと近づくことができる。もちろん、相手からもパスは受ける。それに応じてパスを返す。「そうそう、それそれ。そんな感じ」。それを繰り返していく。デザイナーは、相手の心の内を引き出す有能なインタビュアーでなければならない、と小寺はいつも思うという。こうして、考えるための材料は揃った。あとは、それをどう料理するか、だ。

04

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ゾーニング

事業もデザインする。

実際のデザインワークに入る前に、しなければならないのはゾーニング。つまり、事業そのもののデザイン化。もう少し言えば、事業がビジネスとしても成立できるように、建物を整理・整頓していくこと。今回は、本社機能に加え、自社の店舗機能、外部からテナントも募るビルとなる。近隣のテナントの状況と相場、償却期間、未来予測・・・さまざまなデータを集め、答えをだしていく。当然、クールな分析が求められる。ただし、クールだけならば、誰でもできる。クールに計算しながらも、小寺の頭のなかにはオーナーの思いも携えているし、自分が表現したいデザインについても考えている。数字では割り切れないものが人間にはあるし、もっと言えば“割り切れない何か”を無視すれば血が通ったものは生まれない。その答えを持って、再びオーナーのところへ。再びいくつもの会話を通して、試算も繰り返しながらビルのフレームが固めていく。

05

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デザイン構想1

描く、かく、カク、kaku。

いよいよ自分の事務所でビルのデザインに取り掛かる。小寺の机には、まず10枚のCD。数十枚のミスコピーの用紙。そして、いつものペン。以上が、小寺がデザインするときの道具。そして、「ここからは集中だ」と心の中で気合を入れる。“デザイン”するときは、完全に引き籠る。聞くのは、ハードロック。さすがに平日はヘッドホンだが、日曜日などの休日はスピーカー全開。音楽をフルボリュームで鳴らしながら、ミスコピー用紙の裏に次々とビルのデザインを描きあげていく。なぜか、ミスコピーの裏の方がいいアイデアが出てくると、小寺は笑う。頭が先か、手が先か。どんどんとアイデアが絵になっていく。描くスピードのオリンピック競技があったなら、ゴールドメダリストになる自信はあるといえるほどの速さで生まれていく。とにかく、描く、かく、カク、kaku。描きたい思いをすべて吐き出す。

06

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デザイン構想2

スタンド・バイ・ミー。

もちろん、頭が煮詰まり、手が止まることもある。いったんオーバーヒート気味のアタマを冷却することが必要となる。小寺の場合、その方法はひとつ。そばにある本に手を伸ばす。本といっても、建築系の本、写真集、年鑑の類は見ない。見るのは、PEN、GQ、家庭画報などの雑誌。記事を読むこともあれば、そこにある広告に目を留めることもある。想像力を違う世界で一瞬遊ばせる。箸休めのように気分転換し、頭のなかを異なる味覚でスッキリさせる。すると、自然と何かが降りてきて、また新しいアイデア、デザインが頭のなかに生まれ、手がどんどんと動いていく。さあ、もうひと踏ん張り。小寺の描くスピードがさらにアップする。

07

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プレゼン1

手描きの言葉に魂を込めて。

アイデアを出しきった。じぶんのなかで、最初に行きたいところまでは到達した。次は、いよいよプレゼンへ。描いたものをスキャナで読み込む。そして、パソコン上でレイアウト。さらに、文字をキーボードで打ち込む。エスキス(手で描くスケッチ)でアイデアを表現する手法は別として、ここまではどのデザイン事務所も一緒。ただ、インターデザインの場合、タイトル程度しか「入力しない」。小寺が他と違うのは、ここから。出力した用紙に、アイデアの補足説明を絵と同じように、手で一文字一文字書きこんでいく。文字の強さ、太さ、大きさ。それによって、そのデザインに対する愛情や情熱や生み出した気持ちも伝わっていく。インターデザインはいつもこのスタイル。だから、他の事務所よりも、アイデアがより熱を帯びて伝わっていく。

08

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プレゼン2

その場の底力。

出席者にプレゼンシートを配る。小寺がプレゼンテーターとして、自分たちの企画・考え・アイデア・想い、とにかく“心の熱”すべてを伝えていく。このとき、中身の充実も、新規性も、説得力も重要。でも、それだけだろうか。当然、そこでデザインやアイデアに対して、オーナーをはじめとする出席者から意見や疑問が出てくる。「ここはどうするの?」、「ここはちょっと違うと思う」、「こんなイメージはどうなのかしら」・・・。ここから小寺の本領が発揮される。言葉も駆使しながら、その場で、手で描いて補足説明やアイデアの修正をしていく。目で見ることができれば、誰もが同じイメージができる。理解できる。安心できる。描いたものに対してさらにイメージは膨らむ。さらにその場で描く。道がどんどん切り拓かれる。これを「持ち帰って、次回に修正案をご提案します」としてしまうと、相手も自分もせっかくプレゼンで温まったエンジン(アタマとココロ)が冷えてしまう。時間をおいて同じテンションにするのは、すごくロス。また、二度と“創造の神様”は降りてこないかもしれない。その場で解決。このスピード感がインターデザイン。もちろん、拙速はいけない。とにかく、「アイデアは熱いうちに打て」なのだ。

09

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設計1

いわば、司令塔。

大筋が決まると、いよいよ設計。デザインを図面へと落とし込んでいく作業となる。ここで、他のデザイン事務所と大きく異なること。それは、設計監理も小寺たちで行うこと。実際、打ち合わせなどでも、デザインの話をしていると思えば、次に設備の話をしていることも多い。特に設計から施工へと進行していくうえで、多くのことが関連してくる。これを内容によって窓口を切り分けたりすると、進む話もだんだんと停滞してくる。施主の方もたまらない。これは避けたい。だれも楽しくない。いわゆるワンストップのカタチですすめる。小寺が全てを吸収して、いったん整理して、優先順位をつけて、設計担当者へとつなぐ。これが「インターデザインのスタイル」と小寺は言う。

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設計2

費用と効果。

すべてのモノやコトに、無尽蔵に予算をかけられる仕事は、しあわせか?小寺にとって、その答えはNOだ。それよりも提示されていた予算内で、クライアントが想像する以上の効果を創り出す知恵を発揮する方が、絶対に世の中は面白くなる。たとえば、4面あるビルの側面。4面ともほぼ等分に予算をかけるよりも考えるべきことがある。どの部分を「見せ場」にするか。つまり、通りから人が見てビルのどの角度・部分が目に入るのか。その部分に予算を投入するほうが、ずっと正しいと思う。そんな場面は、ビルのいたるところにある。それは、コピーペーストでデザイン構築していては、見えてこない。ひとつひとつデザインを手で描き起こしているからこそ、そのディティールまで目が行き届く。

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設計3

努力は見せない。

さらに小寺は、費用に対する考え方について話を続ける。単純に使いたい素材をあきらめて、なかったことにする。それだけで、費用は確実に下がる。しかし、同時にデザインの質も下がってしまう。それでいいのか。ここからは、重要度に応じて、小寺とモノとの格闘が始まる。といっても、それほど難しい戦いではない。ここからは、引き出しの多さがものをいうのだ。たとえば価格もモノも若干落ちるが、近い効果を持つ別の似た部材・素材をもってくる。それもひとつだけでなく、段階的に複数の候補を持ってこれることが、インターデザインの強味だと小寺は言う。そして、最良のものを選んでいく。でも、そんな努力をしていることはクライアントには言わないし、見せたくない。それはデザインするだけで終わらない、小寺のデザイナーとしての矜持でもある。

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設計4 自転車

走る、潜る、巡る。

本当にほしいものは、待っていても来ない。待っていてやってくるのは、大量に流通しているもの。もちろん使うべきところには使うが、見せ場にまで大量生産品を使うのは、やはりおもしろくない。他と同じになる。イメージが先にあって、それにピッタリなものが見つからない時は、小寺は自ら動く。自分で探す。東京オフィスからなら自転車がちょうどいい。青山は高感度の土地柄。裏通りを含め、デザインした時にイメージした素材がないか、探しにでる。また、地方にある石屋さんなどにも自ら出向く。イメージを伝え、それに見合うものを用意してもらうが、それでも貪欲に動く。倉庫の奥の奥に潜らせてもらい、探す、探す、探す。そこで「これだ!」というものに出会えることも多い。また、海外に行ったときには可能な限り、骨董市を巡る。今回も、いつか使うかもしれないとスペインの骨董市で買っておいた古いドアノブを思いだし、ある場所に取り付けることにした。すごく味のあるもの。オーナーには、まだ話していない。どんな反応をされるだろうか。それが楽しみだ。

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施工1

まるで、世界博覧会。

今回のビルにも、いろんなところに特注品を数多く使っている。本当にいたるところだ。その特注品をつくってもらっているのも、いたるところ。滋賀県にあるメーカーもあれば、台湾のメーカーもある。九州もあれば、ニュージーランドもある。それ以外にも、富山、名古屋、イギリス、アメリカ・・・。初めて発注するところもあれば、何度もお世話になっているところもある。さまざまなところにいろんなこだわりを小寺は表現する。「こういうことができるのも、いろいろなモノの“ありか”に加え品質まで掴んでいるだけでなく、ネットワークをキチンとつくっているから」と小寺は言う。画竜点睛。世界各国、いろんな地域から取り寄せたもので、ビルのデザインは完成する。

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施工2

タグボートでいこう。

施工の段階に入ってしまうと、膨大な調整事や詳細なチェックがおぼつかず、部分的に作業を建設会社にゆだねてしまう現場も少なくない。「インターデザインの場合、むしろその部分こそがこだわりどころ」と小寺は言う。我々の仕事は“デザイン”を求められ、それを現実のものにしてはじめて意味がある。もちろん、いろいろな局面で妥協する部分も出てくるだろうが、「それを安易な道に逃げるのではなく、粘り強く追求していくことが大切」。そのためにも、チームを組むスーパーゼコンに対しても、「目指すところや価値観をしっかりと理解・共有してもらいながら、我々が最後まで引っ張っていく」。いうなれば、タグボートのようなカタチ。巨大な船を巧みな操船技術で繊細にコントロールし、ぴたっと納まる理想の場所へプロジェクトを進めていくのだ。「難しいけど、やりがいはある」と小寺は語る。

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施工3

あるときは、クッション。

建築は長い契約ごと。基本的に契約金額にそって現場がおさまるよう、その備えはしている。しかしことこの現場に限ってはアベノミクス、東北の復興事業、きわめつけは東京オリンピック決定による想定外の建設ラッシュが今回の建設費にも予想を超えて大きく影響した。契約はクライアントと建設会社で交わされたものだから・・・と「高みの見物ではインターデザインの価値がない」と小寺は言う。建設会社と話をし、クッションになったり、アドバイザーになったり、ファシリテーターになったり、コントローラーになったり。そのことも、インターデザインができる仕事のひとつだと小寺は言う。

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施工4

原点に戻ればこわくない。

ズレが生じるのは、何も費用だけではない。たとえばテナントに入れたいと思っていた商業店舗が、市場やトレンド(流行)の変化を受け、当初の目論見と合わなくなることもある。また、オーナーに新しい発想が生まれてくることもある。その時、小寺は「どうするか」。もちろん、柔軟に対応していくのは当然のこと。が、ただトレンドや時代の変化だけに着目し、ふらついてもいけない。「われわれは、今、何を創ろうとしているのか」。立ち戻れるその場所が明快でありさえすれば、なんとでもできる。そこから再びアイデアもわいてくる。

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施工5

800人の手仕事。

今回の現場は、ピーク時には800人もの職人さんたちが働いていた。良い建設現場の共通点。それは、働く人たちの動作も環境も美しいこと。互いに交わす挨拶。未完成の現場を歩く姿や振舞い。整理整頓が行き届いた資材置き場・・・。それらが、工事を円滑に進め、事故・ミスをなくすることを全員が知っている。それが徹底している現場は、いつもここちよい。なにより良い現場の職人さんは必ず良い仕事ができ、それが800人で束になって仕事をしてくれる。小寺は、今回も良い“現場”に恵まれた。「建設会社に感謝」。小寺はそう言ってほほ笑んだ。

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施工6

原寸主義。

柱の柱頭、窓の部材、モールの断面、壁面の彫刻、そして今回はシャンデリアも。原寸にしてこの目で確かめたい主要な部分は、図面や建築模型で終わるのではなく、小寺は今回も試作をした。その数20以上。それが目の前でどう見えるか、原寸で見た時にさらに良いものにできるポイントを見出せるかもしれない。それだけでなく製作会社の人たちに「自分たちが納品するものは、そこまで大切なモノなのか!」と感じてもらえれば、相手も「もっと良いものを創ろう」とのってくる。相手からも提案が生まれる。相乗効果。そうしたチームワークを生み出せる仕事のスタイルも、小寺がずっと大切にしてきたインターデザインの特長。

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上棟

剛から柔へ。

上棟が終わると工事はいよいよ内装へと移る。躯体をはじめとする建物の部分を「剛」とすれば、内装は「柔」。工事関係者で行う上棟式は、小寺にとってアタマのスイッチを切り替える儀式でもある。そして、小寺には、もうひとつ、計画から完成まで休まず働かせるスイッチがある。それは左脳的思考と右脳的思考への切り換えスイッチ。特に上棟の後はインテリアのクオリティをさらに上げるために、クリエイティブな事柄に100%集中したい。が、費用や工期やそれ以外のことが、まだまだ発生する。全く異なる思考回路を同時に働かせないといけない。左、右、左、右、右、左。瞬時に切り換える。ショートさせないようにする。「それが、なかなかたいへん」と小寺は笑う。

20

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家具

好きか嫌いか。

社長室や店舗、迎賓館などで使う、椅子、テーブル、ソファ、デスク、ティーテーブル、調度品・・・。「本当は海外に一緒に出向き、いつもと違う空気感のなかで探したかった。でも気に入る物を揃えるには最低3年は時間が必要。」と小寺は言う。かつて欧州領であったアジアの国々には意外なアンティークが多く眠っている。そこでの“出会い”を期待していたのだが、多忙なオーナーにそんな無理は言えない。それでも大阪と東京で数日間の時間を創ってもらい、オーナーとともに知る人ぞ知るショップやショールームを巡った。国内に在庫が無いアンティークは、バイヤーに欧州での買い付けを依頼した。昼と夜が反転する時差の中、LINEでリアルタイムなジャッジをしながら購入をすすめる。こうして購入した家具は100点以上。決してデザインだけでは判断せず、座り心地や使い心地まで、丹念にオーナーと確かめていく。もちろん、これだけの点数の中には、NGで突き返されることもある。そうしてフィーリングにあったものだけを、新しいビルに取り入れていくことで、ビルにはオーナーの遺伝子やいのちが吹き込まれていく。

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引き渡し

贈り物のようなもの。

完成。そして、オーナーへの引き渡し。それまでに建物のコンセプトに関わる部分についてはエスキス、平面図、素材サンプルと会話を通し、共有をしてきた。「しかし、実際に完成したものを目にしない限り、デザインに込めた思いは伝わらない」と小寺は言う。逆にいえば、完成品を目の前にしたときに、予想を超えた驚きも生まれるのだ。だからこそ、引き渡しは建物を見てもらう場ではなく、感じ取ってもらう場なのだ。「それは映画といっしょ。単調だといけないし、ずっと張りつめた山場ばかりでもだめ。抑揚のあるストーリーが必要」。一階から順々に・・・では、意図や想いは伝わらない。たとえば、迎賓館にデザインしたらせん階段。上から見ていただくか、下から登っていただくか。それだけでも出会いの印象が大きく違う。じぶんのデザインにオーナーはどんな反応をされるのか。すべてに自信はある、しかし不安もゼロではない。まさに親しい人に贈り物を渡す時のあの気持ち。5年間の想いが今開かれる。緊張するが、とてもうれしい一瞬。

22

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レセプション

終わりなき後悔。

2015年10月15日木曜日。銀座は秋晴れ。完成した本社ビルでレセプションが開かれた。ビジネスの関係者はもとより、経済界や政界などの多くの方々が出席された。小寺も出席だけでなく、このビルのデザイナーとしてスピーチをした。そのスピーチで、彼がいちばん伝えたかったこと。それはこのビルはデザイナーが創り上げた“作品”ではなく、オーナーのこれまでの生き方、人生観、哲学でできているビルであるということ。銀座という特別さにこだわるのではなく、「銀座であろうとも日本中のサロンのお客様に、変わらない安心を感じていただくことが大切」とおっしゃったオーナーの言葉を忘れることが出来なかった。それでもオーナーの生き方、人生観、哲学を100%建物に実現することは困難だった。究極の具現化を目指しながらも、完成した途端に噴き出るものは「後悔と欲」。こうした方がより良かったんじゃ・・・次はもっと美しくできるはず・・・。さまざまな想いが心に浮かぶ。よりすぐれた答えは、次のプロジェクトで。後悔は次の創造力へと昇華されていく。


ダルドベール

イタリアの無垢ガラスをイメージしたオリジナルの厚ガラスブロックは独特の屈折で光を透過。


織物照明

照明器具はまず張地である織物探しからスタートする。今回は英国、ロイヤル・コレクション社の生地、もちろん王室御用達。


金箔銀箔

ガラスの裏表それぞれに百合が彫刻され、銀箔が張りこまれたオリジナルデザインガラスが艶やに輝く。


伝統技組子

イタリアの無垢ガラスをイメージしたオリジナルの厚ガラスブロックは独特の屈折で光を透過。


花籠

エレベーターからすでにおもてなしは始まる。できうるデザインの限界をひとつの籠にこめる。


マグノリア

ロンドンのデザイナーが手作業で描き込む壁紙。同じ柄は二つと存在しない。


ムービーライティング

オリジナル制作の映像は水面を漂う金魚。心癒すおもてなしの表現であり、空間の証明でもある。


江戸切子硝子進化形

江戸切子を大板ガラスで製作し陰影が美しい照明効果材として使用。


バラ天井

トイレはスタッフにとってリラックスできる貴重なスペース。バックヤードデザインにもこだわりがある。


エンブレムカーペット

空間に合せデザインされたカーペットはこれ以上にないマッチングを見せる。


七宝

このフロアーのシンボルは日本古来の文様である七宝柄。硝子やアクリル、江戸組子、置物に至るまでこのディティールがデザインされる。


自在の水彩壁画

壁紙では表現しきれない自由自在な壁面は、アーティストが直接ペイントするしかない。


ありえない屋外シャンデリア

地上56メートルの屋外にデザインされたシャンデリア。あらゆる暴風、暴雨のなかでも美しく輝く。


アートアートアート

建築デザインとアートが一体でデザインされている。この化粧カウンターは江戸末期の屏風とミラーのコントラストが美しい。


なにげに布団貼

織物や布地を壁に張るこの技法は空間をラグジュアリーに、柔らかく導く、欧米のお屋敷に見る伝統的スタイル。

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